2025/01/01

金融ユニオン 中央執行委員長 年頭のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく新年を迎えられたことと存じます。

 昨年は、元日に能登半島地震、羽田空港での事故と辛い出来事が続きました。能登で被災された方々には、復旧が待たれる中、9月にも豪雨災害が重なり、厳しい一年を過ごされたことお見舞い申し上げます。能登ではインフラ整備もままならない一方で、大阪万博開催へと舵を取る政府、財界が、資材も人も金もつぎ込んでいます。未だに、取り壊されずに傾いた家々をニュースで見るたびに、心が痛みます。「自助・共助・公助」とは言いますが、突然の災害の前では、人は無力であり「公助」が優先されるべきと考えます。

 また、8月には、宮崎県沖で起きた地震により、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されました。自然災害は、いつどこで起きるか予知が限られています。

 自分の事として可能な準備をするとともに、被災地への支援も忘れてはいけません。

 金融の世界では、3月に日銀がマイナス金利解除を発表しました。マイナス金利は、長期に渡るデフレと円安、実質賃金の低下を生みました。物価高騰の中での低賃金は、私たちのくらしを直撃しています。そして、金余り状態は、企業の内部留保を増加させ、個人の資産を投資へと誘導してきました。金利のある世界へと変わる中で、金融職場はどのように変化して行くのでしょうか。

 また、企業の不正問題も明るみに出ました。3月には、小林製薬の紅麹サプリで多数の健康被害が発生しています。

 人の生命よりも企業の生産性を重視した規制緩和は、アベノミクスの負の遺産でもあります。

 6月には、トヨタ、ホンダ、マツダ等主要な自動車製造業による、型式認証不正が発覚しました。年末には、三菱UFJ銀行で、顧客の貸金庫から金品を盗み取る事件が発覚しました。信用第一の銀行業務の根幹を揺るがす事件ですが、発覚が遅れた原因は、検査部門の合理化にも起因していると考えます。

 政治の世界では、自民党の政治資金・裏金問題で、関わったとされる議員は処分され、見せかけの派閥解消と「赤い羽根募金」への寄付で大急ぎで幕引きをしようとしています。肝心の政党への企業・団体献金の禁止は、議論されていません。とはいえ衆議院では、与党を過半数割れに追い込みました。議論なしでの議会運営は、出来なくなっています。

 スポーツの世界では、特に野球で、大谷翔平のドジャース加入に始まり50―50、ワールドシリーズ制覇、MVP受賞と大谷に始まり、大谷で終わる一年でした。ベイスターズのセリーグ3位からの下剋上、日本シリーズ制覇もありました。パリオリンピック・パラリンピックでは、アスリートたちの競技に熱い声援が送られました。個々の選手たちの競技を続ける勇気にエールを送りたいと思います。 国や地域の代表として出場できなくなってしまった難民選手団の存在も記憶しましょう。

 世界では、一億人を超す人々が難民として生命の危機を感じながら生活しています。私たちはロシアによるウクライナ侵略、イスラエルによるガザ攻撃など、リアルタイムで悲惨な状況を目の当たりにします。「核兵器の使用」をチラつかせている国家の存在に警鐘を鳴らし続ける被団協の活動が認められ、ノーベル平和賞が授与されました。被爆者の方々は、核兵器廃絶を掲げて自らの被爆体験を語り継ぎ、世界に向けて発信して運動を広げています。平和な世界がなければ、私たちの幸福実現も自由な議論もありません。

 昨年は、ドラマ「虎と翼」が話題となりました。理不尽な男女格差、戦中戦後の混乱、新憲法下での違憲判決など見どころが沢山ありました。戦後80年を迎える今年、その憲法を先輩方から引き継ぎ守って行くのはわたしたちに課せられた使命と思っています。

 個人のできることには限りがありますが、今年も心身健康で、明るく元気に活動して行きましょう。

 そして、この一年が、みなさまとご家族のみなさまに幸多き年となりますように、今年もよろしくお願いいたします。


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